昔、聖人君子の様な顔をした人から、
「嘘をついたのか?」
と、言われたことがある。
私は、
「貴方は、生きてきた中で、
一度も嘘をついた事はないのですか?」
と、問い返した。
その人は絶句して、それ以上は黙った。
皆、自分の胸に手を当てて考えれば、
わかっているはずなのです。
嘘を突き通せば、一生嘘を言い続ければ、
ファクトになると信じている。
お金や権力で、嘘も本当になると思う人達は
国会や霞ヶ関や公的機関に巣食っている。
そしてその人達のフェイクを、
私達もまた信じている事もフェイクである。
フェイクの蔓延した世界で、フェイクな人間が
フェイク混じりの言葉で、フェイクな日常を
暮らしている。
生まれた時から、愛し合ってると信じていた
両親が離婚するとは知らなかった事。
幼い頃、読んで聞かせてくれたお伽話。
「悪い事をしたら舌を抜かれるよ」
と、信じた恐怖のフェイク。
学校の先生が、
「お前達のために、厳しく教育してるんだ」
と、呆れたフェイクな体罰。
まがいものの師弟関係は、座屈してゆく。
会社に勤めれば、職権乱用の上司が、
部下の人格と人生を弄ぶ。
一般常識という愚劣なフェイクの中で、
命を落とす人もいる。
シャワーの様に、降りかかるフェイクの嵐。
正義の旗など吹き飛ばされて、
気がつけば、社会から抹殺されてしまう。
こんな世界で生きてたら、
ネットのフェイクニュースなど珍しくもない。
ひょっとしたら、それこそファクト?
かも知れない。