有資格者の世界

 

「一部上場の下請け工場を経営してましたが、

倒産し、自己破産となり、転職したい」

との事で、相談にこられた。

 

資格優先の仕事でもあるので、

順次、資格を取得されたら、5年で一人前。

30万円そこそこの収入もあるので。」

と、アドバイスした。

 

「倒産でお金が消えたと同時に、家族も、

友人も消えてしまい、明日からの生活の為、

運転手に雇ってください!」

唐突な依頼に、

「えーっ!」と、びっくりである。

 

博打的発想は、私も嫌ではないので、

「まあ、いいか。」

と、うっかり承諾してしまった。

元経営者だったので、専門職にはない、

総合的見識と、何より数字に強い。

 

しかし、何処の現場に紹介しても、

ワンチームに馴染めず、悩んでいた。

 

有資格者の現場は、資格により、

階級制度のような、差別の世界。

一人親方の軍団である。

自分のモチベーションをきちんとこなせば、

結果の出る独特の世界である。

 

「貴方の目的を定め、貫いて行けば、

必ず、出口はある」

と、励まして来た。

 

苦節15年、

今は、国家公務員になられた。

いくら何でも、そこまで行った人は、

私の教え子では、珍しい人である。