ほっといて!

憎たらしい言葉である。

私は口には出さなかったけど、

昔から、心の中で叫んでいた。

 

決めてかかる親から、

かいかぶる教師から、

何もわかっていない兄から、

本当の私を知らない人たちが、

私の周りで、色々言い出すと、

「ほっといて!」

 

結局は、助けてもくれないのなら、

「触ってこないで!」

何もできないならば、

「黙って、祈って!」

 

そして、私の心が傷だらけで帰って来たら、

抱きしめてほしい。

思春期に、お母さんのいない女の子が、

暗い部屋で、膝を抱えて泣いていた事を、

誰も知らない。

 

大雨の日に、誰も迎えに来ない駅から、

真っ白なセーラー服が、ずぶ濡れになって、

たどり着いた家。

 

悲しい思い出が、シャワーの様に、

ほとばしる。

この運命は、誰のせいでもない私の人生。

 

だから、

「ほっといて!」

と、強がり言って、生きて来れたのです。