希死念慮

私の知り合いに、自殺した人が三人いる。

一人は借金

一人は寂しさで、

一人は疾病で、

 

兆候はあったのに、止められなかった事を、

深く痛感している。

死と生が、振り子のように触れている毎日。

何かを、きっかけに、一瞬で死を選ぶ。

 

窓から優しい風が吹いて来た時、

家族の顔が浮かんだ時、

携帯が鳴らない時、

想念から、次の段階に移行した気持ちは、

今も、私には分からないでいる、

 

消え入るような細い細い糸で繋がり、

辛うじて、とっていたバランスを崩す。

自分の存在を否定し、

この世から消えたいと願う。

 

芥川龍之介も、太宰治も、三島由紀夫も、

自らの命を断ち切った。

あれほど聡明で、思慮深い人達の、

死のパッションは何だったのか?

小説の中からは、読み取ることは出来ない。

 

「死にたい」と思ったことはあるが、

「死のう」と思ったことは、まだない。

歯車が噛み合わなくなる恐怖。

自ら、命の結界を切る可能性は誰にでもある。

 

私の手を離さない人が、そばにいて欲しいと、

願っている。