0時を過ぎたので

老人施設には、大きく分けて、

老人保健施設

特別養護施設

サービス付き介護施設

有料老人ホーム

などがある。

 

どの施設の中にも、虐待はある。

身体不自由者、認知症など、

自立して在宅で住めない人が、入所を、

余儀なくされる。

 

誰一人、自ら、喜んで入所する人はいない。

家族の事情や、ケアマネージャーの勧めにより

入らざるを得ない。

 

最初は何かと親切にはしてもらえるが、

一ヶ月も経った頃からは、声もかからない。

病院とは似ているが、治療が完治すれば、

退院できるので、気分が違う。

 

介護施設は、どうあれ死ぬまでいる。

だから、入ってから、

「しまった!」と、思っても遅いのである。

 

食事がまずいのは、我慢はできる。

費用が高いのは、分かった上。

悲惨なのは、

貴方のことを気に入らない介護士に出会う事。

 

まだ、昼間はスタッフも多く、安心だが、

夜が怖いのである。

「今日の夜勤は誰?」

「○○さんよ」と、答えが返ってくる。

ずばり、自分を嫌っている人である。

 

夕食が喉も通らず、ベッドに潜り込む。

誰にも訴えることもできず、

恐怖の夜である。

 

2時間おきに来るおむつ交換のときに、

浴びせかけてくる卑猥な言葉。

車椅子移乗の時の、手荒い介助でつくあざ。

ナースコールを押せば、手の届かない所に、

置かれて、緊急時に誰も呼べないのである。

 

この事を誰かに言えば、ますます虐待は、

ひどくなる事を知っている。

家族が面会に来ると、誰よりもにこやかに、

挨拶する。

「お母さん、リハビリ頑張っておられますよ」

と・・・

 

歩くこともできなくなった足、

動かすこともできない手、

言葉を失った口、

「助けてほしい」

 

声なき声を、聞かねばならない。

施設の中に、一人はいるはず。

この悲しみを、見つけてくれる人が。