タバコとビールのお供え

コットンのブルーのストライプのOPは、

寸胴の身体を上手に隠してくれる。

オーガンジーのリボンで、

肩まで伸びた髪をしっかり結えた。

お気に入りのフェラガモの靴が、

久しぶりのお出かけに嬉しそう!

 

スーパーから少し離れた公園のベンチで、

木漏れ日の光を浴びながら、

店のオープンを待っている。

「コロナ」や「熱中症」の怖い話と、

数理ばかりの毎日。

 

たまには、完全防備して、

自ら、猛暑に飛び込んで、

今年の暑い夏を味わう。

 

早く過ぎてと願いながら、夏を迎え、

上手に暑さを凌いで行けば、

私の夏は、あっという間に終わってしまう。

 

お盆の日、

亡き夫のお供えは何が良い?

お花や、お饅頭にすれば、

「そんなもんいらん!」と、怒られそう。

やっぱり現実的な、タバコにビール。

久しぶりに、笑った夫の顔を思い出す。

 

お互いに、喧嘩をしても、決して謝らず、

我が道を貫き通した夫婦であった。

「ごめんなさい」は言わなかったけれど、

「有難う」は、お互いよく言った。

 

そんな事を思い出していたら、

スーパーの開店時間になっていた。