小さな火傷

セントラルキッチンで、

焼き豚用の大きな塊を、炒めていたら、

油が飛んで、右手人差し指を、

火傷した。

「あちぃ!」

思わず、水道水で冷やしたが、

料理が出来上がっても、痛みが止まらない。

 

火傷だけはすまい。

と、気をつけてはいたが、不覚である。

火傷は、瞬間は赤くなるだけなので、

どれだけの範囲かは分からないが、

とにかく、ヒリヒリと我慢ができない。

 

ボールに氷を入れて、指をつけていると、

痛みが治る。

料理の手を止めるわけには行かず、

つけたり出したりしながら、終えた。

 

バンドエイドでも、貼ろうかと、

指を見たらびっくり!

1センチ程の、水膨れ。

「えーっ!こんなにひどかったん?」

 

油が飛んだくらい、大した事ないと、

思い込んでいたけれど、

舐めて終わりにはならなかった。

 

ふと、

広島と原爆の悲惨な映像を思い出した。

火の海の中を、熱さと激痛で、

人々が川の中へ飛び込んで行った。

 

こんな小さな火傷でも、気分が悪くなり、

氷で冷やし続けていたほどである。

想像を絶する状況である。

 

毎年、8月になると、

広島、長崎の原爆、終戦日航機事故等、

悲しい出来事が、テレビで流れる。

 

今年は、それに加えてコロナもあり、

それらの番組を避けていたように思う。

これ以上、ナーバスになったら、

さすがの私も、心身ともに厳しくなる。

 

なるべくブログにも書くまいと、

逃げていた自分に、思い知らされたのである。

一瞬で命を失った人達の苦しみと、

魂の叫びが聞こえてきたのである。

 

日常の暮らし中で、右手の人差し指を、

使わない日はない。

パソコン、スマホ

まずはこの指から始まる。

全てのスイッチを押すのも、この指である。

 

この小さな火傷で、

数日間、私は不自由を味わい、

そして生かされている事に、

深く感謝できたのである。