血統に誇りを

「ストレスからきてますね」

「自律神経が乱れてるかもしれません」

「不安感からくるパニックですね」

と、心療内科のドクターは言う。

 

心療内科の専門医などいない時代からの、

病気なので、ベテランである。

 

唐突に、襲ってくるので、

最初の頃は、パニックになって、

隣の知らないおじさんにしがみついた。

 

所構わず、出没する。

人との、食事中、

通勤の電車。

仕事での会議、

神出鬼没の発作である。

 

ただ、不思議と、

海外に行くと、びくともしない。

飛行機が、滑走路を離れた瞬間から、

心臓のドキドキは、ワクワクに変換する。

 

目的地に着いた頃には、

別人のように、解放されてゆく。

TPOに合わせて、マナーさえ守れば、

人との議論は、白い目で見られる事なく、

反対意見もOKだし、自由が認められる。

 

そして、

空は青く、高く、広い。

果てしなく続く道を、車で走り続けると、

気がつけば、次なる国を跨いでいる。

 

私のルーツは

アングロサクソンであってほしい。

目はブルー、髪は金髪ではないので、

残念ながらあり得ない。

生まれ出る国も、家族も選べないのである。

 

日本が嫌なのではない。

自分の国に、誇りを持てなくなった事、

お金や名誉が、価値観になってしまった事が、

悲しいと思っている。

 

でも、若い人たちには、

自分に自信がなくなった時や、

生きるのが嫌になったなら、

「貴方の身体の中を、

脈々と流れる血統に、誇りをもって下さい」

と、伝えている。