秋はまだ来ない

秋の先取りをしようと思いたち、

夏の終わりに、郊外へドライブ。

そんな優雅な思いは、

一瞬で、かき消されるほど、

カンカン照りの灼熱地獄。

 

そうくるか!

人の想いを、打ち砕くが如くの自然の脅威。

早く来てと願う中秋の名月を、

そうはさせじと、夏のエネルギーは、

まだまだ、衰え見せず、燃え上がる。

 

「日本の四季など、もうないわ」

と、ここまで、思い知らされても、

まだ諦めない人間がいる。

 

地球の生態系を変えたのは誰ですか?

自然を破壊した人間が、

天に向かって唾を吐き、

その代償で、今がある。

 

地震、雷、火事、親父は、もう古く、

感染、大雨、熱中症である。

親父だけは、怖いうちには入らない。

 

それでも、涼を求め、秋を探しに、

車は、走り続け、

凛と佇む山河や、緑の田畑が 

車窓に広がって来る。

 

静かなる山里に吹く風が、

汗ばむ肌に、秋を感じる

 

「実るほど、頭を垂れる、稲穂かな」

の俳句がよぎる風景に、

日本人は、ホッとする。

 

食欲の秋ではなく、

俳句の意味を、肝に銘じて、

夏の終わりを走り抜けて行きました。