怖いのは傍観者
「何回、言うたらわかるんや!」
「俺の言うた通り、せんかいや!」
と、新入社員に指導係が、怒鳴る。
どこにでもある光景ですが、
そこそこ、分別のあるお歳のお方が、
おっしゃる言葉とは、思えません。
ストレス発散なのか、
もともと、意地悪な性格なのか、
こんなもんではすみません。
他の社員がいる前で、大声出して、
入ったばかりの、社員を虐める。
トップの上司がいない時を見計らい、
蔑むのである。
それも、優秀な社員を猛攻撃。
パソコンがこなせる。
有名大学卒業。
イケメン、
そして、若い、
もはや、おっさん!(あえて、そう呼びます)
の嫉妬である。
そんな、おっさん、おばはんは、
大企業であれ、〇〇省であれ、
必ず、潜んでいるのです。
狙われたら最後、
辞職に追い込むか、
病気にさせられるか、
自殺に追い詰めるかである。
実は
叫び倒すおっさんより怖いのは、
周りにいる傍観者である。
いずれ、いじわるゲームが始まる事は、
元より、知っているのである。
嵐の前の静けさのように、
誰も、何も言わない。
目の前でくり広げられる虐待に、
誰も反応せず、何事もないふりをして、
時間は過ぎるのである。
若い人達は、良心の呵責があるのか、
俯いて、耐えているが、
分別あるお歳の方々は、
薄ら笑いを浮かべながら、
やられている社員の対応を見ている。
さあ、どう出るか?
おっさんが勝つか?
若者が、ひっくり返すか?
楽しみにしているのである。
そして、散々怒鳴られた後、
対応していた若者が、
「貴方様の言われる事は、
ごもっとも至極、恐れ入りました。」
と、静かに、言葉を放ったのである。
その瞬間に、おっさんは、
ぐうの音が、でなかったのである。
そして、
傍観者達も、「うーん!」と、唸って、
天を仰いだのである。
と言う話を聞いた私は、
やりとりを思い出したのである。
知恵者である黒田官兵衛は、
怒鳴り散らす、感情的な秀吉に、
何を言われても、
「恐れ入りました。ありがたき幸せ」
と、やり返したそうな。
私なんかは、本気でやり合うので、
その場で、打ち首である。
悪魔みたいな傍観者を、
何度も、喜ばしてきたのである。