空中で働く若者

シートにすっぽり覆われて、

太陽の光も、月の光もはいらず、

鬱陶しい日が続いている。

 

コロナで、自粛、

自宅での生活を余儀なくされ、

換気もできず、鬱的要素が増幅する。

 

オフィス兼自宅で、借りているので、

建物の塗り替え工事は、家主さんの計画で、

文句は、言えない。

 

忘れて、

カーテンをサーっと、開けようものなら、

空中の塗装のお兄さんと、

鉢合わせして、びっくり!

 

それ以来、

夕方まで、窓もカーテンも、

ピタリとしめて、夜に換気する。

 

夜風が何とも、冷たくて、

北海道のコロナクラスターが、

増えるのが、わかる様な気がする。

 

親方みたいなおっちゃんが、

一人いて、後は、若い衆が、

組まれた足場の上で、細かい作業を、

繰り返している。

 

「この人達は、技術を持っているから、

仕事があって、良かった!」

建設現場で働く若者は、

経験と技術を認められて、仕事を受注する。

 

塗装は、その中でも、繊細で、

ただ、塗ってればいいいものでは無い。

建設工程の中でも、工賃は高い方である。

 

学歴だけで、

公的機関に就職、

メインバンクに就職、

大手企業に就職、

「死ぬまで安泰」

と、思っていたのに、

経済悪化で、足切り状態。

 

ペンキも塗れない、

釘一本打てる訳がない。

「こんな事、起こるわけがない」

と、信じて疑わなかった人たちが、

今、迷路にいる。

 

世界中が不安の中、

自分を活かせる職業の人達、

エッセンシャルワーカーの人達、

出来ることを、粛々と生きてきた人達は、

どんな時も、「強い!」

 

玄関を出たら、

高い所から、

「おはようございます!」

と、元気な声がする。

 

見上げて、返事はしたが、

「お願いだから、落ちないで!」

と、切なる願いである。