70歳を越えると、
認知症の兆しは、顕著に現れる。
「物忘れ」である。
酷くなると、
「健忘症」と、一応病名がつく。
忘れ方は、様々で、
人名、店名、地名など、
固有名詞から忘れやすい。
高齢者同士で、会話していると、
必ず、
「あれ、それ、これ」言葉で、
ほぼ、会話にはならずである。
固有名詞をきちんと入れて、
話ができる人には感心する。
「よおー、覚えてはる!」は、
「しっかりしたはる!」になる。
しかし、
次回、会って、会話をすると、
登場人物も変わらず、
同じ会話が、何度も繰り返される。
そうかと思えば、
約束の日にちや時間を、
すっかり忘れて、連絡すると、
「えーっ!今日やったあ!」
になるので、会えなくなって、疎遠に
昔は、
「ボケた」とか「痴呆」とかは、
あまりに失礼で、
今は、
「認知症」と、呼ばれる様になった。
脳も精神も、病で一括りにして、
人格否定になる
認知症検査の数値だけで、
診断されるものではない。
長い人生、
忘れてしまいたい事など、
山ほどある。
一枚ずつ、タイルが剥がれていく様に、
最後に美しい、思い出だけが、
残って欲しいと、願っている。