落っこちた堕天使

もし、時間を戻せるならば、

「人生のどのあたり?」

と、問われたら、

即答できない私がいる。

 

判断ミスで失敗をしたときは、

「あーあ、もとい!」

と、思う事は、多々ある。

 

改めて、

どのあたりと聞かれても、

総合的に、幸せは長く続かず、

不幸せが安定していたので、

「今で、いいです」

と、答えてしまう。

 

実のところ、

「こんな人間になりたい!」

「あんなことを成し遂げたい」

と言う、具体的なプランはなく、

夢もなかったような気がする。

 

そこがはっきりしていれば、

そうなったときには、達成感もあり、

幸福な人生だったと言える。

 

お医者様をみたら、ドクターに!

俳優を見たら、女優に!

バレエを習ったら、バレリーナに、

「絶対なるぞ!」

なんて、思いもつかない。

 

学校の先生が、勉強させてくれる、

会社の社長が、仕事を与えてくれる、

夫が、幸せにしてくれる、

子供は、勝手に立派になってくれる、

そんなアホなこと、考えていた。

 

相手に期待し、相手に依存してきた、

調子のいい性格が、今に至るとすれば、

「お気に入りの時間まで、戻してあげる」

と、言われても、

「めっそうもございません」

と、引き下がるしかない。

 

性格が、悪かろう、

考えが甘かろう、

アップルの樹から、落っこちた堕天使を、

見捨てなかった神様と、

諦めなかった家族に、感謝しかない。

 

これで、「不幸せな人生でした」

というならば、バチが当たる。