買い忘れた手帳

いつもなら、

秋を過ぎた頃から、

店に並ぶ来年用の手帳を

楽しみで、早々に買っていた。

 

コロナ感染で、自粛の日々、

計画も予定も、ほとんど無く、

今年は白紙に近い。

体調の有無、人間関係の記述まで、

鮮明に書くタイプである。

 

今年の夏頃から、

書く事が、嫌になった。

「一日中、家にいる」

「特になし」

「体調、不良」

同じ言葉の繰り返しである。

 

普段なら、

不愉快な出来事があった週も、

次のページになると、

友人との食事や、仕事関係のアポなど、

ストレス発散のプランが並ぶ。

手帳は、私の心模様を映し出す。

 

学生時代からの手帳もあり、

たまに開くと、

自分の軌跡が見えてきて、

気恥ずかしくもあり、懐かしい。

 

最近は、テーブルの上に置いたまま。

来年用の日記を、買い忘れたのではなく、

「書く気が失せた」と、

言った方が当たってる。

 

令和2年の手帳の半分が、

空白であることで、

深い悲しみを、思い出す。

 

あの時は、

「こんなにも、心が病んでいたんだ」と、

皆んなで語れる日が、来て欲しい。

 

希望に向かうために、

繋げるために、やっぱり、

「令和3年の手帳は買おう」

 

大雪が降ると言われていた大晦日

夜空を見上げれば、嘘の様に、

満点の星が、美しく輝いていた。