捨てれない「いらん物」

今年は、

あまりに暇な自粛年始を迎えた。

寒い!外出なし!仕事なし!

となると、後は「お片付け」しかない。

 

長い歴史を突っ込んだまま、

ほったらかしの荷物。

開かずの間の扉を開けた。

 

「死ぬまでに」

自分の軌跡の物は、整理整頓と、

思いながら、もはや10年が経った。

 

衣類や、自分の持ち物は、

簡単に断捨離か、リサイクルショップへ。

難関は、

写真や書類、後は「取っておきたい!」

と、思い込んでいたいらん物である。

 

捨てたら、

後で、「しまったあー!」

と思われて、整理もせずに、箱の中。

しかし、一度も必要になった事はない。

 

一見、

人から見れば、ゴミのように見えるけど、

実は、この中にこそ、

私の人生の真実や秘密が、詰まっている。

 

子供が、遠く離れる旅立ちのときに、

渡された感謝の手紙、

私の事が書かれた実母の日記、

覚えのない請求書に、

人にお金を貸した時の借用証、

など、一枚一枚見ていくと、

一日はかかるのである。

 

そして、最後に、

また、開かずのパンドラーの箱に、

再び戻して、ガムテープ。

「私が死んだら、捨ててください」

と、マジックで字を書いた。

 

死ぬまで繰り返される、「お片付け」

金目のものなど残さずに、

いらんものだけ残す母親である。