変わらぬルーティンライフ

夜明けに降った残り雪が、山並みに積もり、

窓を開けて、冬の風を感じながら、

高速道路を、走り抜く。

 

一週間に一度、

ドライブを兼ねて、丹波地方に、

食材の買い出しに行く。

 

インターを降りた、幹線道路沿いには、

ガソリンスタンドや、食べ処が並んでいる。

都会にも見かけないような、

大駐車場がついたスーパーが、結構ある。

 

過疎で、人口も少ないと言いながら、

「誰が買うねん!」

と思うほど、スーパーにあふれる食材。

 

兵庫県は、南に太平洋、北に日本海と、

海の幸にも、恵まれた地である。

県の真ん中に位置する、丹波市氷上町には、

「水わかれ(みわかれ)」と言われる、

日本で一番標高の低い中央分水界がある。

この分岐点から、北へ、南へと、

川が分かれて流れてゆく。

 

本来、高いところから低いところに、

水は流れていくが、

この場所は、なだらかな平地である。

川の真ん中で、右と左に川が流れる。

自然界の不思議な現象に、圧倒される。

 

豊かな大地に、豊かな水があふれ、

人々の暮らしや食文化を育んできた。

北の風と、南の風が出会う場所で、

生命体が、生き付いている。

 

ピカピカのお魚や、

色鮮やかなお野菜や、

隣町の三田牛が、食欲をそそる。

両手いっぱい、車に積み込んで、

インターを南へと向かう。

 

時間を間違えた、少し早めのお月様が、

フロントガラスの中に現れて、笑ってる。

家路について、見上げれば、

遠い空で、小さくなって輝いている。

 

コロナの中で、

堅実な生き方を教えられ、

とびきりのこともない、

変わらぬルーティンライフ。

人が生きると書いた「人生」の扉が、

今、開いたかもしれない。