拘縮した手足を、庇う様に立ち上がり、
心を残して、日常の扉に向かう。
地球時間は、少しずれた様に、
時を刻んでいる。
聞きたくもなくなったワイドショーが、
これ見よがしに、がなりたてている。
「飲食店には、先払い給付を!」
「五輪のチケット代は、誰が出す!」
「困った人達に、支援を!」
もしも、
この世から「お金」と言うものが、
削除されたら、どうなるん?
宇宙の法則を捻じ曲げて、
作り上げた人間の法則から、
「お金」を、消したら?
全ての脚本は、書き換えられる。
「お金色」に染まった人生も、
夢も、希望も、そして命も、
どんなものと差し替えるのだろう。
握りしめたお金を放せば、
我が胸に、最後に抱きしめるものが、
見えてくるかもしれない。