「いらんもん」は大切な物

何かに取り憑かれたが如く、

押入れの中を、片付け出した。

 

段ボールに入れて、

一見、小綺麗にはなってるが、

その箱の中身は、整理できずにいた。

 

子供の笑顔、懐かしい旅行、

一瞬で蘇る幸せな思い出の古い写真。

余程の決心がないと、捨てられない、

手ごわい相手である。

 

何かの時にと、いらんかもと、

思いながらも、残していた書類関連。

読むのも、めんどくさく、

ガッサガッサと、ゴミ袋へ。

 

災害が来たらと、

備蓄していた、日用品に、食料品。

賞味期限は、呆れる程に、立っていた。

 

後生大事に、

引越しのたびに、持ち歩いて来たが、

ろくなもんではなかったと、

がっくりはしたが、

今日という日までは、

「いらんもん」ではなく、大切なもの。

 

時代の流れの中で、

物はいつかは無くなるし、壊れてゆく。

忘れたくない思い出は、

誰かの中に、しっかりと刻まれて、

未来へ引き継がれてゆく。