蝶のタトゥーの美学

真っ白なワンピースが、眩しい

大きく開いた胸元から、

鮮やかな蝶々のタトゥーが見え隠れ。

どうにも、目に入ってしまう。

 

元教え子の女性と、久しぶりの再会。

容姿端麗、その上頭脳明晰、

寡黙で、硬い印象だったので、

対比するタトゥーが、意外であった。

 

今日という日に、思い切って、

蝶が映えるドレスを選んだ、

心模様が伝わり、嬉しい気持ちになる。

 

師弟関係から始まった二人、

本当の自分を、ありのままの自分を、

私の前に、見せてくれた。

 

楽しい会話も、忘れるほどに、

あまりに、タトゥーが際立っている。

外に向かって、打ち出せる美学が

羨ましい。

 

彼女のタトゥーには、

ファッション性だけではない、

真実が、見えてくる。

 

凛として、顔を上げて、

語りかけてくる彼女に、

私もまた、

襟を正して受け止めなければならない。

 

私の元で、資格を取られ、

訳あって行けなかった大学、

日本から遠く離れた、

海外の理系の大学で、再度学ばれ、

今は、日本の大学の専門講師になられた。

 

彼女は、

ニコニコと、可愛い笑顔で前にいる。

もはや、前ではなく、

高いステージの人となられた。

 

教えた技術や知識も、

そして、蝶のタトゥーも、

彼女の教養の一部となって、

キラキラと、輝いている。