振り返れば、
「人生の道」なんて無かったと、
友人が答えたのに、驚いた。
私から見れば、
あらゆる辛苦を、乗り越えて、
社会的には、高い地位を築かれた、
と、感じていた。
計算高い人ではなく、
緻密な計画を立て、粛々と、
努力の階段を、登ってこられた。
突然の豪雨の中、
死に物狂いで、川を渡り、
行き着いた先には、何もなく、
ジャングルの中で、立ち往生、
必死で、迷い道の中を、駆け抜ければ、
次なる苦難の連続だったと言う。
確かに、
人生は、思い通りにならず、
幸せなる時間は、瞬間で、
不幸は結構、居座るものと、
私の中にも、実感としてある。
70歳くらいを過ぎると、
未来より、
過去の方が長いのは当然である。
嫌な過去など、数々あれど、
忘却したり、排除しながら、
人生を振り返れば、
70年の道のりが、10年位に短縮する。
と言うことは、
綺麗に整理された並木道も、
桜舞い散る川沿いの道も、
無かったことに気が付いたのである。
道なき道を、
ただひたすら、歩いたり、走ったり、
なんとか生き延び、ここまで来た。
「ああ、しんど!」
と、ほっと一息つける場所が、
此処だっただけ。
残された未来は、短いけれど、
やっと、観客席に座れる様になりました。