降りしきる雨の夜、
さよならも言わず、
車から降りた貴方の背中が、
バックミラーから、遠ざかる。
フロントガラスに、
叩きつけられた雨と涙が、
川の様に、流れ続ける。
人には言えない訳があり、
明日が見えない時間の中で、
嘘の様な未来を語る。
触れてはならない、
「その手に、心に、」
かけられた魔法を、打ち消しながら、
小さな部屋で、
温もりを、分かちあう。
想いを積み上げて行く煩悩を、
一瞬の突風が、消しさって、
月明かりの美学が、浮き上がる。
すれ違いの繰り返しの中で、
出会わされた意味と訳、
アダムとエバの犯した罪を、
雨の音が、元返してゆく。
切ないほどの想いも、
悲しみを分かち合う想いも、
想い違いの愛だとすれば、
探し続ける旅は、終わらない。
パソコンの電源を消して、
デジタルな世界から、
優しさに移行する。
「帰りましょうか」
「お腹がすいたね」
想いの中から、抜け出して、
脳が覚醒してゆく