完全なる「無害者」はいない
苦しみは、より深く、
悲しみは、継続する、
ブラックホールの中に、
落ち込んだ人生からの脱出。
目の前の出来事だけ、
視界の中で、見えるものだけ、
現実世界のシンプルな空間、
霞んだ暗闇には、目を瞑り、
雑踏から聞こえる叫びに、耳を塞げば、
苦しみも、悲しみにも、
遭遇しないで、生きて行ける。
出来るだけ、
広くて、まっすぐな道を選んで、
見ざる、言わざる、聞こえざるを、
決め込んで、
他人事には近寄らず。
善人ぶっても、
優しさを装っても、
化けの皮は、剥がれてしまう。
何故なら、
貴方の、内なる善が、
貴方の、悪意を上回る。
善悪なる木は、貴方の中で、
立派に、大きく、育ってる。
誰にも知られず、
普通の家庭に、普通の暮らし、
潔癖な守りの家庭も、
虚もある、「砂上の城」となる。
歳を重ねて、
年月を経て、
「加害者」にも「被害者」
にもなりうる人生、
完全なる「無害者」は、
この世には、
一人もいないはずである。