人間の治癒力

夜が来ると、

こころが、ホッとする。

煌々と部屋を照らす光を、

嫌う夜もある。

 

動かない事が当たり前の、

誰もが、

静かな暗闇に、溶けてゆく。

 

月も星も現れず、

卓袱の闇の中を、人生の風が、

螺旋を描いて、舞っている。

 

朝が来ないでと、奇跡を願い、

巻き戻してゆく時間、

糸を縒る指先に、暖かな火が灯る。

 

視界を失くした瞳の奥に、

音のないメロディを、映し出す。

聴こえないものが、聴こえ、

見えないものが、見えて来る。

 

人間の治癒力は、

何物にも変え難く、

悲しい傷も、苦しい痛みも、

優しい夜の帳の中で、癒される。

 

代償のない無限の愛は、

意図も容易く、手に入る技を、

誰からも、与えられず、

探し出せれば、

至福の時間が、味わえる。

 

見つかることの無い、

隠れんぼ、

出会うことの無い、

約束を、繰り返し、

 

過去から、今から、未来まで、

私が創る、私のドラマ、

寝静まった夜に、

深い次元に、映し出す。