志を「矛に収めて」

人間、

「死んだら終わり!」

「天国も地獄もなく、只の無である」

 

石原慎太郎氏が言われた言葉に、

私も、同感である。

 

私達の年代からすれば、

理にかなった事を、言われていたし、

忖度、媚び諂えが、大嫌いなるが故に、

前後につく、悪態にも、

「よう、言うた!」と、共感していた。

 

氏、素性申し分なく、

教養と叡智ある、見識、

身体も日本人離れのスポーツマン、

そして、文学者であり、アーティスト、

この人ならではの、生き様である。

 

ただの権力と支配を、

振り回したわけではなく、

真摯に裏打ちされた、実行力であったが、

敵も、多くはいただろう。

 

善人ぶって、綺麗事言う人に限って、

裏表の、サタン性があり、

悪態、暴言を、堂々と言う人に限って、

表に見せない、慈愛の人もいる。

 

時々見せるシャイな笑顔と、

人道的なものに、出会った時の涙に、

本当の曲者にはない、

育ちの良さや、真っ直ぐさが、

垣間見える。

 

絶望的な貧困もなく、

屈折した家族関係もなく、

「無条件の愛」を、受けられて、

すくすくと、自由に生きてこられた。

 

だからこそ、

社会の理不尽さを、

権力者の不合理を、

守られていない人達を、救いたいと、

生きてこられた、

 

最期の時間は、

文学者に立ち返り、

原稿用紙に、自分と向き合い、

志を「矛に収めて」

逝かれたのかも知れない。