潤んだ春の月

湿った春に、

潤んだ春の月が、ぼんやり佇んでいる。

 

秋の月は、

もてはやされるが、

春の月は、

何だか、置いてきぼり、

 

世の中が、暗く、

混沌とした時代になると、

叙情的な気持ちにはならず、

ついつい、

明るい太陽の光を、求めてしまう。

 

ウイルス、経済低迷、侵略戦争

これ以上、

異常な世の中が、重なった時代も、

過去にはない。

 

経験のない人間は、

夢か幻か、

映像に映し出される悲劇を、

受け止めようと、揺れ動く。

 

プーチンや、ゼレンスキー大統領、

戦闘機や、戦車が、

美しい街並みを、火の海にする光景は、

アニメやゲームの世界ではない。

 

日本からは馴染みは薄いが、

東ヨーロッパにある、

社会主義国家と、中世の歴史が、

混在する国、ウクライナ

 

度重なる、侵略が繰り返され、

培われて来た、

民族の結束と誇りが、

今回の侵略戦争のなかで、

見え隠れしている。

 

世界中の、人々の心に、

忘れ去った、家族の絆

失ってしまった、愛国心が、

深い眠りから、目覚め始めた。

 

冷たい闇の中で、

優しく、潤んだ月の光が、

ウクライナの人達を、見守っている。