荒れ狂う、三月の戦闘の最中、
母と生まれ出ようとしていた子を
死に追いやった映像が流れる。
流れる歴史の時間の中では、
人は、成長を繰り返すが、
この悲劇の時間は、
心を掻き乱す。
両手を縛られた様に、
手も出せずに、なす術もなく、
人が死んでゆくのを、
呆然と見つめている残酷さに、
どれほどの意味があるのか、
傷ついた人に、温かな飲み物を、
差出す人がいる。
砲弾の中を、その飲み物を、
運んでくる人がいる。
夜を徹して、その飲み物を、
用意して、準備する人がいる。
命を救う目的に向かって、
同じ思い、切なる願いで、
多くの人が、
静かに、粛々と事に仕えている。
その姿が、
唯一の救いとなって、
人々の心に刻まれ、
「こうべを垂れる」連鎖が広がる。
恐ろしいほど、
鮮明に、映し出される戦争の悲劇に、
眼を背けずにいる。
無関心、無責任、無慈悲な人間には、
なりたくは無い。