老人ホームの「夢のパンフレット」

ギリギリまで、自宅にいて、

最期は、病院で死にたい。

 

殆どの高齢者の、

理想の死に方である。

「長く、地域に根ざして、

安心と安全の中で、暮らしたい」

その為に、介護保険は作られた。

 

しかし、

思い通りにならないのが、

世の常である事も、

高齢者は知っている。

 

身体も弱り、頭もボケたし、

「皆んなのお荷物」

に、なりだした頃から、

家族は、「高齢者施設」を、探し出す。

 

「誰が決めたん?」

いつの頃からか、

お決まりコースの様に、

ていの良い「姥捨山」。

 

美しい山々、

緑の木々、

広がる海の展望、

どう見ても、高級ホテルの様な、

老人ホームの「夢のパンフレット」。

 

高齢になると

「自宅から施設へ」

この法則に、

周りも、本人までもが、受諾する。

 

施設は、共同生活であり、

起きる時間も、

食事の時間も、

入浴の時間も、

排泄の時間も、決まってる。

 

ふと、目覚め、

窓から吹く風を感じながら、

温かな珈琲を、飲みながら、

昔を懐かしむ事さえ、難しい。

 

穏やかな、自由な時間を、

失うくらいなら、

一人暮らしも、寂しくないのである。