スッカラカン人生

「智に働けば、角が立つ、

情に、棹させば、流される、

意地を通せば、窮屈だ」

 

夏目漱石の「草枕」の、一節である。

 

人間関係、

ちょっと、ぐらつくと、

この言葉が、頭をよぎる。

 

「先生」の端くれで、

生きてきた時間もあったが、

「先生」と呼ばれるほど、

人望もない。

 

どちらかといえば、

アホのお嬢で、

騙された事、数知れず、

 

意地っ張りではないが、

意志は強く、まっしぐら、

壁に、ドスンとぶつかることあり。

 

性悪、

意地悪

最悪、

それなりに、持ち合わせてはいるが、

うちなる善が、押さえ込み、

何とか人間関係、つつがなく終わりたい。

 

世の中、

私の想定外の相手は、

山ほどいるが

まともには、向き合うほど、

勇気はない。

 

上回るほどの、やり手の人には、

道を譲り、椅子を譲り、

後退りしながら、

その場から消えてゆく。

 

よって、

地位も、名誉も、お金も、

譲ってきたから、

見渡せば、何もない、

シンプルな背景で、スカスカ人生。

 

時々、お誘いもあって、

講義やおしゃべり頼まれる。

 

すっかり、頭も枯渇して、

古びた引き出しからは、何も出ず、

それでも、「私節」は健在で、

笑いあり、涙ありの、

楽しい時間が、過ぎてゆく。

 

スッカラカンから、

未来が生まれる事もある。