石垣島に住む妹から、
毎年、
トロピカルフルーツが、送られて来る。
ワクワクしながら、
大きな段ボールを、開けると、
部屋いっぱいに、
フルーティーな、香りが、
「灼熱の夏」を、届けてくれる。
パイナップル、
マンゴー、
ドラゴンフルーツ、
何とも、奇妙で、可愛い!姿。
こんなフルーツが、
この世にある事すら、
「ヤマトンチュー(本土の人)」
には、想像を絶する。
母のスカートの裾を、
いつも、
小さな手で、握っていた、
「お母さんっ子」の妹が、
遠い沖縄の離島で、農夫になった。
40数年前、
小さなリュックに、
捨てられない手紙と寝袋を詰めて、
身も心も、軽々と、
青空に、飛び立った。
物心もつかない子供達の前から、
病で、姿を消した母、
寂しさと、悲しみの中で、
其々が、歩んできた道、
「後悔しない事」
「一生懸命、生きる事」
を、心に誓い、
妹は、右の道を選び、
私は、左の道を選んで、
今、二人は、70代になった。
久しぶりの、
電話の向こうで、
沖縄の方言なまりの、
元気な、妹の声が聞こえる。
青い空、透明な海、
鳥や動物や虫達と、語らい、
自然の中で、
溶けてしまいそうな世界、
「こんなにも、幸せでいいのかしら!」
と、いつも、答える、
「お姉さんも、幸せになってね!」
と、いつも、励まされる、
パイカジ(南風)に乗って、
もぎたてのフルーツが、
籠の中で、歌ってる。