「本当の幸せ」とは

巻き戻せない時間の中で、

吹く風に、

身を任せて、歩いている、

 

暗闇の中を、

人々の、悲しみの涙が、

川となって、流れている

 

「ありえない」話など、

この世にはなく、

目の前で、繰り広げられる、

現実の悲劇。

 

泥水で、

力尽きて、倒れた人の上を、

権力の旗を掲げた戦車が、

通り過ぎてゆく。

 

音も、光も、

届かない、遠い場所にいても、

聴こえてくる、見えてくる、

悲しみの悲鳴。

 

「日本は、良かった!」

「私達は、幸せ!」

で、終わってしまう、

ドラマの主人公には、なりたくはない。

 

膨大に膨らんだ、

「我が事」

「自分さえ」

良ければの思考が、

悲劇を、産み続けてきた。

 

窓から、差し込む、

束の間の、太陽の光の中で、

降りしきる雨の音が、

心の中で、止まないでいる。

 

「私の幸せ」を、

追い続けてきた人達が、

「誰かの幸せ」も、無ければ、

「本当の幸せ」ではない事に、

気づき始めている。