「幸せの音」が、聴きたい
猛威を振るう、
石垣島に住む、妹と、連絡が取れず、
眠れない日が続いている。
自然に憧れ、
生まれた都会を離れて、
40年が、経った。
いつのまにか、
すっかり、姿も、言葉も、
沖縄の人になっている。
「私だけが幸せで、ごめんね」
と、妹は、いつも言う、
見知らぬ土地で、
「幸せ」と言えるまでに、
どれ程の、苦しみと、悲しみが、
あったか、知っている。
都会であろうと、
地方であろうと、
その場所で「生きぬく」には、
それなりの、壮絶な人生がある。
どこまでも、続く、
透明な、美しい海に囲まれ、
輝ける太陽が沈めば、
満天の空に、月や星が、
絵画のように、映し出される石垣島。
「もう、二度と戻るまい」
と、心に誓って、
この月を、この星を、
「お姉さんも見てるだろう」
と、心を馳せて来たと言う。
今では、便利になって、
石垣島までは、
飛行機で「ひとっ飛び」
お互いに、
訳あって、事情もあって、
一生懸命、生きてる間に、
いつのまにか、、
歳を重ねた姉妹になった。
「宅急便でーす」
夏が近づくと、
毎年、送られてくる、
ピカピカの、トロピカルフルーツ、
宝物が、
いっぱいある、石垣島に、
都会から、送れるものに、
思案する。
お金も食べるだけあればいい、
洋服も、暑さが凌げればいい、
家も、眠れる場所があればいい、
早朝の、畑の中で、
鳥の声を聴きながら、小休止、
地球の大地から、
吹く風の中に、
「幸せの音」が、聴こえてくる。
いつの日か、二人で並んで、
「幸せの音」を、
一度は聞いてみたいと、願っている。