「教育」と言う名の本

闇の中を、

少年は、走っていた。

 

地図のない、

行く先の無い道を、

死んでもいいから、

走り続けている。

 

何から、

逃げているのか、分からないまま、

先ずは、家族から、

意地悪な、友達から、

支配する先生から、

そして、虚偽だらけの社会から。

 

逃げなければ、

命がなくなる恐怖から、

大通りを、走り抜き、

路地裏を、曲がりくねり、

水平線が、見える、青い海へと、

 

辿り着いた先は、

都会の橋の下でもなく、

得体の知れない巣窟でもなく、

ポツンと、灯りのついた、

ちいさな小屋。

 

部屋の中には、

数えきれないほどの、

「教育」と言う名の本が、

溢れるほどに、並んでいる。

 

棚から、

一冊の本を手に取り、

少年は、

静かに、ページを開いた。

 

そこから、

人間が教えてこなかった、

「真実」が、見えてくる。