「涙だけ」は、枯れないでいる

涙が、

溢れて、止まらない時がある。

 

何気ない、人の言葉が、

棘の様に刺さって、

回復不可能。

 

あちら側の問題ではなく、

こちら側の、心の問題である。

「悔しさ」で、始まるが、

最後は、

「悲しみの涙」に変わる。

 

歳を重ねて、

脳の機能も、鈍っているはずだが、

感情だけは、残存している。

 

若い頃は、

理不尽な言葉を、

浴びせてくる、相手に対して、

反射的に、抗う自分がいたが、

 

今は、

社会から、離脱し、

国や、他者から、

護られての弱者となった。

 

多少の困難にも、

多少の、憤りも、

多少の、傲慢な言葉にも、

「我慢」、「辛抱」、「慎み深く」を、

念頭に、平和を保ってはきたが、

 

傷ついた心が、

その重みに、耐えられず、

滝が、決壊するが如く、

涙が、溢れ出る日がある。

 

長い人生を、越えて、

心身共に、

枯れてしまったはずなのに、

何故か、

「涙だけ」は、枯れないでいる。