「おめでとう」と言うのも、憚られる

春が、

迎えに来るまでは、

まだ、遠いけど、

希望は、捨て切れずにいる。

 

一跨ぎすれば、

年度が、変わり、

新しい歴史が、始まる。

 

「おめでとう!」と、

言うのも、憚られる状況に、

戸惑いがある。

 

荒れ狂う世界恐慌の中で、

モスクワと、日本だけが、

「平和な暮らし」と、

誰かに聞いた。

 

「おかげさまで」と、

返答するには、あまりに躊躇する、

その場しのぎの「切ない幸せ」は、

消えてゆく、シャボン玉。

 

ミサイルが飛ばない、

青い空、

イルミネーションが、輝く、

美しい街、

溢れんばかりの、豪華な、

食卓、

 

かつて、

原子爆弾」が、落とされた、

悲惨な国とは、思えない程の、

豊かな実りの中で、

足元が、ビブラートしている。

 

人の命が、

窓を伝う水滴のように、流れて、

いとも簡単に、

家族が、友人が、知り合いが、

消えていく悲劇、

 

泥水の大地を、踏みしめながら、

激動の歴史の中、

揺れ動く、螺旋の中、

どう、生きるかが、問われている。