「地図」から消えた、あの場所へ

振り返れば、

「春の気配」を感じる、朝、

冷たい風の吹く中で

自然の樹々に、芽吹きが始まる。

 

待って、待ちくたびれる、

人の心より、

何が起こっても、

「約束を違わない」、四季の移り変わり。

 

冷たさの中で、

自ら、吐く息が暖かく、

掌から溢れでる。

 

「見上げた先」に、待ち人は居ないけど、

諦めずに、辿り着き、

繰り返されてきた、

長い歴史。

 

幼い頃、

母から渡された、

「地図」から、消えた、

「あの場所」へ、

行けなかったけれど、

「大丈夫、心配しないで」と、

天に、伝える。

 

「地図のない」闇の中、

帰り道も知らないけれど

いつも、

「誰か」の、優しい手が、

背中を押してくれたから。

 

後ろを見れば、消えそうで、

それが怖くて、

気づかぬふりして、

「一人ぼっち」を、装った。

 

いつの日か、向き合って、

「ありがとう」と、

伝える日が、来るかもしれない。