「取り戻せない、大切な時間」

窓から、差し込む、

温かな日差しに、

騙されて、

いつもより、薄着の装い。

 

唐突に、

春一番」の、

突風に、見舞われて、

引き戻すこともできずに、

狼狽えている。

 

今更、

止めるわけにもいかず、

老骨に鞭打って、

目的地まで、「歩こう!」

 

雨にも負けず、

風にも負けず、

冬の寒さにも、夏の暑さにも、

「ヘッチャラ」だった若い頃が、

脳裏に浮かぶ。

 

ミニスカートから、

「ニューッ」と、

出た、生足に、

呆れてた、大人達。

 

電車の中で、

「コロンコロン」に、

着込んだお婆さんの姿に、

呆れてた、若者達。

 

痛いところに、

サロンパス」貼って、

寒い日には、

ホカロン」貼ってる、

老婆の姿は、他人事だった頃。

 

「ピッチピチ」の、あの若さは、

何処に消えたか、

あの頃の私には、出逢えない。

 

冷たい風の中を、

一生懸命、

足早に歩いているのに、

辿り着けない、目的地。

 

そんな私を、

「神様」が、笑ってる、

老いは、誰にでも、やって来るって、

言ったでしょ!

嘘みたいに、

時間が過ぎてゆく、「人の一生」

 

言われていたのに、

知っていたのに、

分かっていたのに、

「取り戻せない、大切な時間」が、

降り出した、

粉雪の中で、舞っている。