何にも「要らんもん」

最近は、

「美味しいもん」

「綺麗なもん」

「新しいもん」に、

興味も薄れ、

何にも、「要らんもん」に、なって来た。

 

姉の、

久しぶりの、訪問に、

二人は「お喋り」が、止まらない。

 

会う時は、

おしゃれな、

「フランス料理」の店や、

美味しい、

「イタリア料理」の店で、

ランチが当たり前の、

「あの頃」

 

「旦那元気で留守が良い」

の、暮らしの中で、

楽しんでいた「若き日々」は、

すっかり、消えた。

 

コロナ以降、

外食を避け、外出を避けて、

日常が、

身についた「為体」

 

おしゃれにも、

気を使わず、

持ち寄りの、軽いランチでは、

「お喋り」にも、花は咲かず。

 

ふと気づけば、

こちらも、

部屋着の様な、「ルーズなファッション」

姉を見れば、

いにしえの、「ブラウス」

 

お互い、

後期高齢者の狭間で、

世界中の混乱期と、遭遇し、

「やる気」も「する気」も、

すっかり失くしていた。

 

容赦なく、

押し寄せる「老化」の波に、

抗って、

旅に、買い物に、ランチにディナー、

果ては、

忘れかけていた「デート」まで、

謳歌している、友人等もいる。

 

あっという間に、過ぎ去る月日、

何も、しなかった時間が、

「もったいない!」と、

二人の心の中に、

春一番が、吹き抜けたのである。