「何処まで、行く?」
「何処まで、行く?」
「雪の降る、北国へ」と、
友人は、笑って答える。
「旬」を、
過ぎた「春の大和路」を、
あてのない、ドライブは、
楽しい。
「桜」は、つつじの花に早変わり、
「山」は、鮮やかな新緑に、
「春の小川」は、爽やかな夏の流れに、
一瞬で、
移り変わる季節が、
地球時間を、早めてゆく、
「華やいだ」花見も、
今は、
人の気配もなく、
穏やかで、静かな、
「田舎の一本道」を、走り抜けてゆく。
風景には、
不釣り合いなほどの、
「精神」論義、
悲しみも、苦しみも、
「開け放した窓」から、消えてゆく。
地球の回転に、逆らって、
春から、冬へと元返して、
終わりのない、
「田舎の一本道」は、
時空のトンネルを、越えてゆく。
フロントガラスに、
あたる、白い粉雪が、
「夕暮れの空」に、舞っている。
「次は、何処へ行く?」
「暖かな、南国へ!」
ハンドルを握った私が、
笑って、アクセルを踏んだ。
「自由なる現実」の、世界は、
メタバースの、世界より、
比べようもないほど、
おおらかで、素敵な世界である。