持ち続けて来た「細やかな美学」
「黄砂の嵐」の中で、
遅咲きの桜が、
迷う様に、咲いている。
「人間の力」では、
どうにも出来ない、
自然の法則を、知っている。
間もなく、
散りゆく、花の命を、
精一杯、
振り絞って、咲いている。
「花の命は短くて、
苦しき事のみ多かりき」の、
詩文が、頭をよぎる、
「悲しみも、苦しみ」も、
抱きしめて、
夢中で、走り抜いた軌跡が、
歳を重ねてゆく中で、薄れてゆく。
心の中では、
「生への執着」も、
無きにしも非ずであるが、
頭の中では、
「もう、充分」と、
達観している理性もある。
「朽ちてゆく」老木も、
枯れ切るまでは、花を咲かせて、
使命を果たして、
大地の土となってゆく。
新しい芽を出すための、
「自然の摂理」に、
抗う事なく、未来を見据えれば、
小さな命も、貴重な一粒、
頭の上を、
飛び交う、弾道ミサイル、
忽然と、姿を消した、
自衛隊の、ヘリコプター、
誰にも、分からない、
「命の保証」
背中合わせの、不運な運命を、
交わしながらの、「テクニック」も、
今の時代には、通用しないが、
持ち続けて来た、
「細やかな、美学」が、
今も、私の心を支えている。