「唯一無二」気がつかなければただの人

昔、

自称「占い師」の、

友人の言葉が、耳に残っている。

 

「唯一無二の人」は、

三千年に、一度しか逢えないと言う。

ロマンチックで、ミラクルな、

「スピリチュアル」な話は、

文学小説より、面白い。

 

いつもの、ヨーロッパ便、

12時間近い、フライト、

小さな空間の中で、

「生死を共にする」人達。

 

何の因果関係も、無い人達が、

万が一にも、墜落すれば、

偶然は、必然となり、

「共に死ぬ」事となる。

 

前列、真ん中、

「右横顔」だけの、

雰囲気のある、初老の男性、

 

キャビン内の、

薄暗い照明の中で、

「ゴールドのペン」が、光を放っている、

 

退屈紛れに、

本を読んだり、食事をしたり、

ふと、顔を上げると、

「微動だにしない」

初老の男性が、目に入る、

 

商社マンか、企業のCEOか、

醸し出す雰囲気は、

「只者ではない」

いつもの悪い癖で、

想像は尽きないのである。

 

もともと、

男性は、付き合うより、

眺めているのが、楽しいし、

人畜無害である、

 

例え、

「アランドロン」と、

BONJOUR」と言葉を交わせど、

一瞬ですれ違う。

 

「一期一会」にもならず、

残念ながら、縁は無く、

フランスまでの、

ロングフライトも、

あっという間に、着陸体制、

 

機内用のキャリーバックを、

静かに、転がし、

シャルル・ド・ゴールの、

タクシー乗り場で、

「横顔」だけの、紳士は、

パリの街に消えていった、

 

三千年に、一度しか逢えない、

「唯一無二の人」は、

70歳を、越えても、

未だ、現れずである。

 

それでも、

占い師の友人が、

すでに、会っていても、

「気がつかなければ、ただの人」

気になる言葉を、曰う。

 

「スピリチュアルな」話しには、

歳は関係ないのである、