あの世から見たこの世、

5月13日

午前出発のはずの、あの世行きが、

「原因不明の故障」で、

止まったままである。

 

たしかに、

窓の向こうには、

先ほどまでいた、「この世の風景」が、

走馬灯の様に、

窓硝子に、流れている。

 

救急車の中で、

もはや、血圧計にも触れないほどの、

「25」というカウント数が、

聞こえて来て、

気がつけば、「あの世行きの列車」の中に、

座っていた。

 

時々聞こえる、

修理工の人の声が、頭をよぎる、

もう、眠りたいのに、

大きな声がうるさくて、

 

「もう、終わりますか?」と、

聴いたら、

「今からですよ!頑張ろうね!」と、

落ち着いた声が聞こえる。

 

私が、、

列車を止めてるわけでもないのに、

「私のせい」で、

列車が出発しないらしい。

 

終わりそうもない、修理だが、

辞めるわけにいかず、

「不快、不愉快、不思議」な、

図柄の中に、

私の「心臓の形」が、映し出されている。

 

皆んなで、よってたかって、

私の心臓を、突き回して、

確実に、正確に、

止まりかけた心臓を、

必死で、動かし始めている。

 

終着駅には、

いつの間にか、

あの世行きの列車は、いなくなり、

 

私は、

白い病院の、白いCCU室で、

何本かのくだに繋がれ、

あの世行きの列車から、

おろされて、眠っている。