息子の死
癌告知を受けて、治療中に息子さんが急死された知り合いがいます。二重の苦しみの中で襲いかかる絶望。言葉を失い、魂が母親である彼女をかろうじて支えている状態だと聞きます。由緒正しき家に生まれ、人柄からか友人も多く、健康にも恵まれた方だと聞いています。周りからの励ましも、慰めも聞けない中で、悲しみの涙ではなく、怒りの涙が止まらないだろうと、息子を持つ親としては、同じ思いを感じるのです。生きてさえいてくれたらと、遠くにいても、近くにいても祈り続けて来た母親の手から、息子の命を誰が奪ったのか?親を飛び越えて子供が先に死んではならぬと、育てて来たはず。自分の命に代えても、大切な息子を守り抜いて来た思い。取り戻せない失ったもの、在るべきものの存在を無くしたことを認めるには果てしなく長い時間がかかるだろう。そんな貴方が生きて行くことを、私はそばでしっかりと見届けたいと思っております。