女神のトリアージュ

だまし討ちのような冬の嵐が、今年は日本列島を吹き抜けた。美しい雪景色も、畏れを感じて見方が少し変わったことは確かではある。自然の脅威は、私たちの暮らしを一瞬で破壊する。
阪神大震災を味わった私は、倒れる食器棚の前にいて、観音開きのガラス戸が開き、下敷きにはならなかったが、今でもあの時の飛行機が落ちるような感触を覚えている。水の不自由さは身にしみて、あれ以来ペットボトルに水道水を入れて、部屋の周りに壁の模様のようにずらりと何十本も整列している。小さな子供達が「これなーに?」と聞く。「いつか貴方の命を守ってくれるよ」と答える。こんなものが必要にはなって欲しくはないけれど、医療や科学が進んでも、地球の自然の変容には勝てません。生きて再び災害にあったなら、若い人達、助かる人達から救って行く女神のトリアージュを受けて
悲しみを喜びに、そして感謝に変えていきたいと希求しています。