孤独な老人に春よ来い

独居老人の家を訪ねた帰り道は、いつも切なさに胸が痛む。次に訪ねる時には居られるのかしら?あの状態では厳しいかもしれないと、職業柄判断してしまう。お邪魔しているときのつかの間の団欒と笑顔。訳あっての独居生活であるが、あきらめと絶望の時間が過ぎて行く。どうあれ、話せる相手がいること、温かな食事があること、お部屋に人の気配があること。失ってわかる大切な時間。喪失感の中で一人では頑張れないことを知る。それでも、「大丈夫ですよ。何とかやってますから」と、援助を拒否される。そのお年まで頑張ってこられたのだから、助けてもらうことも、迷惑かけても罪にはなりません。若い人から声をかけられたら、「嬉しい!」と言って欲しい。もはや、人の力ではどうにもならない、頑なな心に、どうか、早く、この人のために春が来てと願ってる。