チーチーパッパはやめてほしい。

両手に赤白の旗を持たせ、介護員の号令で始まるゲーム。
「はーい皆さん!赤上げて、白上げないで赤上げない!」
なんとも言いようのない風景である。
次に始まるのが嚥下体操、あーいーうーえーおー!
「最後はお歌を大きな声で歌いましょう!」
高齢者たちは言われるがままに、一生懸命頑張るのです。
こんな事したくないですと、誰も言えない。
言えない事を察して、どうかさせないでほしいのです。
今、目の前に、椅子に座り整列しているのは、
あの悲惨な戦争を超えて来た人たちである。
ただひたすら、国の為に家族の為に命を犠牲にして、日本を守り抜いて来た人たちだと言う事を、忘れないでほしい。
今は誰も、その事を口にはしないけれど、魂はその悲しみを明確に覚えているのです。
自立に向けての介護も、認知症予防もしなくても、何十年と自立して生きてこられたし、肉体がボロボロになるまで貴方のために働いて来たのですから。
静かに見守り、笑わす事をするのではなく、
笑顔になるコミュニケーションを考えて下さい。
年を取っても、死ぬ前に、ひとつ位は好きなことがあるのです。
私が寝たきりになったら、
窓を開けて、優しい風を入れてね。
マライヤキャリーの音楽を流して、
温かなカフェオーレを飲ましてね。
と、願っているだけなのです。