意欲減退の一日

目を閉じて、耳を澄ませば静寂の音が聞こえる
誰もいないはずの部屋の中、空気の音がする
かすかにセミが鳴くようなジィーンと連続音が聞こえてくることに、最近気がついた。
朝からテレビをつけても、相変わらず発展性のない話を同じ登場人物が繰り返している。
土曜日のモーニングは、嬉しい時間のはずなのに、サラダにも玉子にも手が出ない。
システム化されていたはずの脳の中も止まって
ソファの端っこに座ったまま、時間だけが経過して行く。
何を考えようかと考えながら、言葉や絵面が、
チカチカとついては消える。
まるでゼンマイ仕掛けのおもちゃのような仕組みの自分に少し嫌気がさしてくる。
人は皆、幸せに向かってると聞いたことがあったけど、いつになったらその終着駅に着くのだろうと、現実離れした妄想が起こってくる。
すいもあまいも、苦いも辛いも充分知った上で生きてきたはず、ハレ、ケ、ケガレの日本の中で、文句も言わず生きてきたのに、
「ああ、しんど!」と、深いため息がでる。
女の子から女性になり嫁になって姑になる役目を誰が決めたのかな?
本当にそれが女の幸せだったのかと疑問が浮かんでくる。
生まれた時から渡された法則通りのその地図は、間違いなく、幸せになるための参考書だったのですか?と。
何故に、これ程多くの女性達の悲しみの連鎖になっているのかを、誰も答えてはくれない。
真っ暗な井戸の中で、耳を澄まして、優しい声が聞こえてくるのを、じっと待っている一日になりそうです。