旅立ちの前に

春の輝かしい日差しに、新しい出発に、
「さあやるぞ!」と、ついつい前のめりになりがちである。
特に若い人達は、できる事を、無を有にと、
希望に胸膨らませ、歩み出す。
それがストレスになりかねない。
開かれた未知の世界に突入する時は、
今までの自分を、静かに閉じながら進んで行かねばならない。
新しい学び、人との出会い、社会への出発、道はまっすぐではなく、常に交差し続けている。
そして、取り巻く環境は、雲の流れのように移り変わる。
さなぎが蝶になる前のように、沈黙の中での熟成期間。
ゆっくりと、時が満ちて、飛び立たなければならない。
社会に背を向け、人から遠ざかっていた人にも、等しく変化の時が来る。
大空を飛ぶ、美しい羽が、それぞれに与えられ、約束されているはず。
赤ん坊が、この世に生み出される瞬間、ねじれながら、誕生する。
過去を閉じながら、未来を開いて行く作業は、人に合わすのではなく、自然の法則にゆだねて、吹く風に寄り添うように、時空の流れに乗り移ってほしい