家は一部屋でいい。

トイレまで十歩、もちろんお風呂は隣にある。
キッチンからテーブルまで三歩。
ソファ兼ベットからテーブルまで、一歩。
テレビは、しないが、足でも消せる。
60歳になったら、ワンルームに住もうと決めていた。
安全、安心、機能性抜群、無駄なし快適生活である。
要らんもの?置かなければ、充分空間はある。
私は若い時から、ベットに寝っ転がって、本を読み、ものを書き(今はパソコンだが)、思いにふけるのが大好きであった。
幼い頃、四人兄妹で、子供部屋には、四つの勉強机と巨大なベットが一つ置かれていて、四人で寝ていた。
いつの間にか、成長とともに、それぞれの子供部屋に分かれて行った様に記憶している。
な、訳で、IKEAが日本に進出して来た当時、
一見細長いソファにしか見えないが、引っ張り出すと、キングサイズくらいになるベットが売り出され、その時から、今に至るまで、お気に入りのベットとして、愛用し続けている。
フランスベットの様にフカフカのソファではなく、薄く、広げなければ長めのベンチにしか見えない優れもの。
だから、私にとっては、家の広さでもなく、部屋数でもなく、そのベットが一つあれば用をたす。
どんなに疲れていても、辛い事に遭遇しても、
両手両足広げても余りあるベットの上で、涙し、音楽に癒され、眠りについたのである。
家族やワンちゃんがいた時は、400坪近い、築70年ほどの自宅に住んではいたが、家族が減ると共に、今の身の丈にあった小さなワンルームで、密かに暮らしている。
いつの日か、病で倒れ、ヘルパーさんや看護師さんが来てくれる様になったら、病院の特別室に早変わりする。
もう少し、この快適な暮らしをしたいと、
願ってはいます。