女から母に変わる時

夫婦50年以上連れ添うと、スプーンの使い方一つで、口論になり別れ話にまで発展するらしい。
おかげさまで、私は穏やかな一人暮らし。
でも、わからんでもない。
旦那が退職して、三食昼寝付き。
家の中を、ウロウロ、ゴソゴソが視界に入るだけで、腹がたつ。
女は元気で社交的なので、一週間のスケジュールなど、すぐ埋まる。
しかし、旦那は、社会からすでにお払い箱で、2ヶ月に一回の持病の病院通いのみ。
「最近口答えすんのよ!」
と、友人が、怒って電話をしてくるので、
よくよく、聞いてたら、
「旦那も小さな事で、言い出したら譲らず、おかしいけど、貴女も、それをまともに受けて、
出て行けー!発言も変やわ。」
若い頃は、穏やかで、ジェントルマンも、
おしとやかで、教養あるマダムも、歳を重ねるたびに、タイルが剥がれるように、身についていたものが欠損してゆく。
自分側からしか、物事が見えなくなり、相手への気遣いや、遠慮がなくなりだしたら、
認知症」の入り口かも。
どうあれ、悲しいかな、想い出も記憶も忘却の中に消えてしまう。
相手の言葉や行動に変化が起こりだしたら、腹たつ前に、この人、大丈夫かしらと、客観的観察が出来れば、熟年離婚は減少する。
今日は、母の日。
どうあれ、残念ながら、旦那からは感謝の言葉もないが、子供や孫から、カーネーションが届くだろうが、父の日は忘れられる事もあり、
男は死ぬまで、寂しい存在であることは確かである。
「高齢になって子供返りした旦那のために、
女から母になって、死ぬまで添い遂げてくださいね。」と、友人には助言した。