どん底まで落ちる

あるがままに、ありのままに、
生きたいと願ってはいるが、叶わない。
あるがままどころか、ありえないことばかりが、起こってくるので、難しい。
生まれ落ちた時からの宿命なのか、
私の傾向性が、右を左に捻じ曲げるのか、
風の吹くまま、優雅には生きれない。
毎日、粛々と、同じことをくり返す作業に、
罪はない。
ときどき、迷うことなく、スッキリ爽やかに、過ごしている人に出会うと、気にはなる。
こんな複雑な、謎めいた世の中で、何故にそこまで、淡々と生きられるのか?
思い切って、聞いてみれば、
「とことん、どん底まで落ちて、這い上がってきたからですよ」
と、答えられた。
なるほど、そうかもと、変に納得。
人間は、地位、名誉、資産、プライドを失うことが、怖くて、そのために切磋琢磨する。
私自身も、失敗を避けるために、安全弁をしっかりと付け、仮説を立てながら、直感を信じて、物事を組み立てて生きてきた。
出来るだけ、傷は浅く、致命傷を負うことなく、人に対しても、出来事に対しても、好きになりすぎず、やり過ぎず、半分身体を引いてきた人生であったかもしれない。
だから、本当に悔いなく、やりきったと思えず、不完全燃焼である。
それがバランス感覚と思い込んできた。
自分の守りと我欲を行使すれば、人を助けることはできない。
何を守ってきたのか?
何一つ、自分の手元に残らなかった事実を見れば、明らかである。
「人間は愚かなり」
と言われた、神様の言葉に、救われる。
「そうです、そうなんです、私は愚かなので、許してください」
と、また逃げようとする私の傾向性が、現れて、救いようがありません。